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認知症への理解と啓発を 悩み共有「家族の会」支部が活動42年目

2023.09.16
 9月21日は世界アルツハイマーデー。6月にできた認知症基本法が定める「認知症の日」でもある。「認知症の人と家族の会」(本部・京都市)富山県支部は、認知症の人が安心して暮らせる社会をめざし、42年目の活動を続ける。
 富山市の県民共生センター・サンフォルテに6日、高齢者を中心に「家族の会」の32人が集った。うれしいことを順に話す。「今日来られた」「歌いに来るのが最高の楽しみ」。雨で畑作が助かるとの近況も。
 この日は歌声の日。世話人のキーボード演奏に合わせて「青い山脈」など懐メロを歌い、手拍子をしたり、ハーモニカを吹いたり。表情が和らいでいく。
 班に分かれて、悩みを打ち明けた。「食事に時間がかかる。菓子ばかり」「チーズを挟む工夫しては」「言っても歯磨きしない」「一緒にせんまいけ、と言ってみては」「いつも優しくはできない」「一番親切な人だとはわかるよ」。口々に経験を分かちあった。
 盛り上がる一幕もあった。
 認知症の夫に「ありがとう」と言ってみてほしいとこぼす妻が「私と結婚してよかった?」と聞いた。
 返事は「良(い)かったよ」。
 「それ、最高の褒め言葉よ」。みんなで励ました。
 家族の会県支部は1982年に約130人で設立。会員約230人の多くが、家族やボランティアだ。
 富山、高岡、南砺、朝日の各市町で月に計10回以上交流を続ける。本人や介護家族、家族をみとった人が悩みやストレスを軽くし、元気になる場をめざす。
 堀井隆子代表(68)と勝田登志子事務局長(79)も、介護の経験がある。「ここでしか言えないことを共有する居場所。課題は世話人の後継者づくり。介護中でない若い人も関心をもってくれれば」と話す。
 つどいに来られない人向けに毎月出す会報「ぽ~れぽ~れ」は、480号を超えた。スワヒリ語の「ゆっくり、おだやかに」から名づけた。絵手紙、川柳や投稿などが満載で、「紙上のつどい」の役目を果たしている。(小西良昭)
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 〈認知症基本法〉6月に議員立法で成立した「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」。認知症に関する初の法律。社会活動に参加する機会の確保など認知症の人が暮らしやすくする狙い。バリアフリー化の推進▽意欲や能力に応じた雇用の継続▽保健医療、福祉サービスの切れ目ない提供▽認知症の研究・予防推進など。政府は施策推進基本計画をつくる。国民は共生社会実現の寄与に努める。国民の関心と理解を深めるため、9月21日の世界アルツハイマーデーを「認知症の日」とし、9月を「認知症月間」と定めた。
 認知症の人は2025年に高齢者の約5人に1人、約700万人に達すると、国は推計する。
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 認知症の人と家族の会富山県支部は、9月21日の第30回世界アルツハイマーデーに認知症への理解を広めるため、映画上映と監督の講演会を開く。
 9月23日午後1時=富山県高岡市末広町のウイング・ウイング高岡▽24日午前10時と午後1時半の2回、富山市湊入船町のサンフォルテ。
 認知症の母と介護する父を撮った記録映画の続編「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」を上映。その後、娘の信友直子監督が講演する。参加費1千円。
 なるべく事前に申し込む。問い合わせは県支部(電話・ファクス076・441・8998)、勝田事務局長(090・9766・7640)。ホームページ(https://kazokutoyama.jimdofree.com)=QRコード。