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「科学を応援してください」 柏のエクセドラ 開館5年半、来館者5000人突破

2023.09.16
 東京大大学院生や研究者らに科学の疑問をぶつけることができる千葉県柏市の「手作り科学館Exedra(エクセドラ)」が先月、累計来館者数5千人を突破した。2018年の開館から5年半、見るだけで終わらせず、一人一人とのコミュニケーションを大切にする科学館がモットーだ。(林容史)

 柏駅に近い繁華街、昭和の薫り漂う古びたアパートにエクセドラは入居する。「近くまで来たけど、場所が分からないとよく問い合わせがあります」。館長で元東京大大学院生の羽村太雅さん(36)は苦笑する。

 発端は、東大柏キャンパスで研究に取り組む大学院生たちの科学サークルだった。学部生や主婦、高校生らを巻き込み、「お茶をしながら講演を聞く」サイエンスカフェや子ども向けの実験教室などを開いた。やがて恒常的に集まれる場づくりへの要望が高まり、柏の研究成果を蓄積する科学館として18年1月、エクセドラが開設された。

 名前のエクセドラは、古代ヨーロッパの貴族の家にあった「だんらんの場」を意味し、「人々が集まって科学について議論する場に」との願いが込められている。

 羽村さんによると、国内の研究現場では今、基礎研究の予算が削られ、「世の中の役に立っているのに、どうして理解されないのだろう」と悔しい思いをしている人が多いという。「科学が応援されるような雰囲気にしたい」と開館時の思いを語る。

 既存の科学館について羽村さんは「子どもたちが展示物を見て歩いているだけ」と指摘し、「説明文も読まず、どんな意味があるのか理解もしない」と嘆く。

 こうした現状に、エクセドラでは展示物を説明するプレートは設置せず、大学院生や研究者らスタッフが直接、解説するやり方を続けている。

 館内にはスタッフが手作りした標本、子どもたちが採集した化石や骨、貝のほか、各分野の専門スタッフ一推しの書籍が並び、手に取ることができる。銅鏡を磨いたり、原石を割って化石を発掘したりする工作も体験できる。

 現在、力を入れているのが、昨年4月に小中学生を対象にスタートしたジュニア研究者を養成する「研究部」だ。月2回、科学館に通い、セミの抜け殻調査、手賀沼の水質調査、最もよく飛ぶ紙飛行機の設計などを通し、基礎トレーニングを積む。さらに高度な「ステップアップコース」に上がると、答えがないテーマを自ら考え、研究を進める。「地元の子どもたちが研究者として育てば、国や大学の研究機関の未来は明るくなる」

 今後は、手狭になった科学館の機能を補完する分館を設置するなどし、より多くの人たちに科学を応援してもらい、ゆくゆくは科学館で育った子どもらを研究者として迎え、研究所としての役割も果たしていく夢を描く。

 エクセドラの開館は毎週土、日曜午前10時~午後5時。1組ずつ、1~2時間交代で受け入れる事前予約制で、ボランティアや大学院生ら約20人で運営する。

 問い合わせはエクセドラ=電080(6520)3302=へ。