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「熱意だけで地域活動は維持できない」コミュニティーはどうすれば

2022.06.17
 参院選茨城選挙区で今回改選となる現職2人は引退を表明しており、新顔同士の争いとなる。立憲民主党の郡司彰氏(72)は1998年から、自民党の岡田広氏(75)は2003年から4期にわたり参院議員を務めてきた。この20年で何が変わり、何が変わらなかったのか。22日の公示を前に、朝日新聞茨城版の過去の選挙企画でとりあげた場所や人を再び訪ね、改めて考えてみたい。
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●1998年6月17日付茨城版
「高齢者のメッセージ」
 【記事要約】日立市・塙山(はなやま)学区の「住みよいまちをつくる会」の会長(当時64)は「高齢化社会の福祉政策には、自主性のある参加型のコミュニティーが増えることが必要だ」と考えている。
 これからは、街づくりの担い手は高齢者になる。そう見越し、退職後に会の活動に参加してもらうため、地元の50代の社会人が気軽に話せる場を設けた。小学校卒業を祝う会や敬老会など交流イベントも開く。福祉の計画から実施まで、幅広い領域に市民が参加し、受け皿のコミュニティーが育てば「最大の行財政改革につながる」とも考える。
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 日立市の「塙山学区住みよいまちをつくる会」には2022年現在、約1700世帯が加入する。01年から会長を務める西村ミチ江さん(74)もその一人だ。
 日立製作所に勤めていた夫の転勤で、1972年に出身地の島根県から日立へ移り住んだ。高度成長期から造成が進んだ「山側団地」の一角を占める塙山団地に家を建て、2人の子どもを育てた。子どもの学校のPTA活動に携わったのがきっかけで、会の活動にも参加するようになった。

 《2003年、少子化対策の基本理念となる少子化社会対策基本法が成立。国や自治体が、地域社会での子育て環境づくりを支援することを定めた》

 そのころからすでに子育て世帯が減り、かつてあった近所の「ママ友」同士のつながりも希薄になった。「母親が自ら相談相手を探さないといけない時代が来るなんて」
 コミュニティーの出番だと考えた。子どもが企画する体験学習会などを開いて交流を進めた。リーマン・ショックがあった08年以降は、共働きをしながら子どもを育てる世帯も増え、10年には放課後や夏休みに子どもを預かる学童クラブの運営も始めた。
 その矢先、思いも寄らない課題が降りかかった。

 《11年、東日本大震災が発生。日立市内は観測史上最大の震度6強で、436軒の家屋が全壊した》

 西村さんは自宅から7キロほど離れた日立市中心部で会議中に激しい強い揺れを感じた。つくる会が事務所を置く塙山交流センターに戻ると、会のスタッフが集まって避難所設営の準備をしていた。地区一帯は電気や水道が止まっていた。
 災害時のマニュアルなどは特になかった。とりあえず避難者の名前がわかる掲示板を作ったり、住民が提供した米30キロをかまどで炊いたり。市役所の職員も駆けつけたが、避難所設営の知識が豊富なわけではない。住民同士で話し合いながら、目の前にある問題のひとつひとつに手探りで対応していった。
 約1週間の避難所運営を終え、温かいみそ汁を作って市役所に差し入れた。菓子パンや冷たい弁当を食べていた職員らの顔がほころぶのを見て、行政の対応にも限度があると感じた。
 「役所しかできないこと以外は、住民でできるようにしよう」。防災計画を立て、小学校と合同の防災訓練をするようになった。

 《15年、1947~49年生まれの「団塊の世代」がすべて65歳に達した》

 このころから、孤立する高齢者が気になりだした。
 17年から学区内全戸をたずねる活動を始めた。2、3人1組で1軒ずつインターホンを鳴らし、生活の状況や行政の要望に耳を傾けた。20年春に訪問を終え、孤独を感じる一人暮らしの高齢者や空き家が多くあることがわかった。一方、会の活動の担い手となる元気な高齢者探しにも役だった。
 21年には、災害の時に避難が難しい高齢者や障害がある人の個別の避難計画作りの準備も、民生委員と協力しながら始めた。災害対策基本法の改正を受け、国から作成を求められた市が、協力を求めてきた。
 「この20年で、コミュニティーに求められることは、お祭りのようなイベントではなく、毎日の生活のきめ細かなサポートに変わった」
 西村さんにとって、つくる会の活動は「生きがい」だという。だが、国が福祉や防災など本来行政の仕事をコミュニティーに移すのなら、今最も求めたいのは、財政的な支援の充実だ。
 高齢者の見回りを買って出るボランティアがいても、聞き取った情報の整理や行政とのやりとり、補助金の申請など、膨大な事務仕事まではモチベーションが保ちづらいからだ。
 「地域を経営している感覚で活動を続けている。ボランティアの熱意だけでは地域活動は維持できない。ご近所づきあいの延長と政治家や行政が考え続けるなら、いつか崩壊する」(藤田大道)
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1998年6月17日付茨城版
「高齢者のメッセージ」
 【記事要約】日立市・塙山(はなやま)学区の「住みよいまちをつくる会」の会長(当時64)は「高齢化社会の福祉政策には、自主性のある参加型のコミュニティーが増えることが必要だ」と考えている。
 これからは、街づくりの担い手は高齢者になる。そう見越し、退職後に会の活動に参加してもらうため、地元の50代の社会人が気軽に話せる場を設けた。小学校卒業を祝う会や敬老会など交流イベントも開く。福祉の計画から実施まで、幅広い領域に市民が参加し、受け皿のコミュニティーが育てば「最大の行財政改革につながる」とも考える。