ボランティア関連ニュース(外部記事):詳細

  • 災害救援・地域安全活動

古典落語に「交通安全」織り込む 来月県警チャンネルで動画配信

2022.06.17
 交通課長は悩んでいた。警察から発信する交通安全のメッセージは、とかく悲惨な内容になりやすい。「落語で笑いながらだったら、お年寄りから子どもまで、素直に受け入れていただけるのでは」。思いついた企画の実現へ、出演依頼から動画の撮影まで1人でこなすことになった。
 14日、兵庫県加古川市平岡町新在家の「おでん工房あんず庵(あん)」の高座に笑福亭鶴笑さん(62)が上がった。目の前には動画撮影用のスマートフォンが1台。加西署の鈴木義則交通課長(51)が撮影を担当した。
 披露されたのは古典の「たいらばやし」。字が読めない丁稚(でっち)がお使い先の「平林」の読み方を忘れ、道行く人に尋ねるのだが、ますます混乱する、という筋だ。
 「平林」の読み方を聞こうと、道を横切ると警察官に呼び止められる。「こらこら、赤信号は『止まれ』やで」。その後も、斜め横断を注意されたり、横断禁止の標識を見なさいとしかられたり、落語には道路横断時の注意点が盛り込まれている。
 「交通安全啓発落語」の企画は、落語好きの鈴木課長が「あんず庵」の高座に上がることがあった鶴笑さんに依頼して実現した。「おまわりさんから相談があると言われまして、最初はどきっとしましたわ」と鶴笑さんは話す。横断歩行者の交通事故防止に関するパンフレットを受け取り、その内容を落語に盛り込むことにした。
 演目を「たいらばやし」にしたことには、鶴笑さんの思いが込められている。「落語になじんでいただきたくて、古典にすることは決めていた。道すがら尋ね歩く『たいらばやし』が一番しっくりきた。時代設定はめちゃくちゃですけど」
 出ばやしを流し、スマホの画角を調整し、撮影内容を確認する。作業は鈴木課長が1人で担当した。「急なお願いだったにもかかわらず、鶴笑師匠にはボランティアで引き受けていただきました。構成は師匠にお任せで、私も初めて聴かせていただいたが、すばらしい内容でした」。ここから先、動画の編集作業は県立北条高校放送部に依頼している。
 この日撮影した落語は、ユーチューブの兵庫県警公式チャンネルで7月中旬に配信する予定。鶴笑さんによる交通安全小咄(こばなし)も5本撮影し、県警公式SNSサイトで公開するという。(宮沢崇志)