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「うれしい」「つらいのはこれから」 避難指示解除検討に様々な声

2025.03.07
 岩手県大船渡市の山林火災は6日、発生から9日がたった。16日ぶりに山林に降り注いだ5日の雨と雪などで延焼が食い止められたものの、鎮圧には至っていない。ただ、市は赤崎町の大船渡湾寄りと三陸町の甫嶺地域の一部で避難指示の解除を検討していると説明。避難生活を送る住民から「早く自宅を確認したい」と期待の声が上がった。
 約1200年以上の歴史を持つとされる岩手県大船渡市赤崎町の尾崎神社の﨑山巌宮司(53)は、避難指示が出された2月27日以降、妻と娘、義母やペットと一緒に車中泊を続けている。
 貴重な文化財などは避難時に持ち出し、「拝殿などは無事だと聞いている」。それでも「現地に関する情報が乏しい。避難指示が解除になるのであれば、いち早く現状を確認したい」と話す。
 尾崎神社は、東日本大震災で社務所が全壊。境内につながる階段の上から6段目まで津波が押し寄せたが、社殿はかろうじて被災を免れた。
 崎山宮司は「津波に続いて今度は火災。被害が少ないことを祈り、復興を願いたい」。
 赤崎町大立地区の自宅から福祉の里センターに避難している大船渡高校2年、金野愛華さん(17)は、避難指示解除の可能性があることを人づてに知り「うれしい。期待しています」。
 夜は両親と3人でテントの中で寝泊まりし、日中は三陸町綾里の三陸公民館で、大学生らに交じって食事の配膳やラジオ体操のボランティアをしている。
 夜、不安な気持ちを友達との電話でまぎらわせていたが「他の避難者に配慮して寒い屋外で話していたので、長電話はできなかった。家に帰れたら、室内で思う存分したい」と元気に話していた。
 同じく福祉の里に父と娘の3人で避難している合足地域公民館長の千代和人さん(62)は「避難指示が解除されたとしても、電気や水などのインフラが大きな被害を受けている可能性が高い」とうつむく。「昨日の雨で多くの人が『火が消えたかも』と喜んでいるが、今後、どのくらい避難生活が続くのかが見通せない。本当につらい気持ちになるのはこれからかもしれない」と話した。
 大船渡市三陸町綾里に住む小坪正人さん(62)は発災当日から三陸公民館に避難している。避難指示解除の検討がされているのは赤崎町の方だと聞き、「えっ、綾里はまだ解除されないのか。家がどうなっているか見たいのに」と肩を落とす。避難所での生活は1週間を超え、「もう疲れたよ。とにかく解除されて帰って家を見る。それが一番したいことだね」と話した。(三浦英之、東野真和、松尾葉奈)