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小さいなりの良さ、大切に 観光功労で大臣表彰、女将の福間昌子さん
2025.09.14

かつて北前船の風待ち港として栄えた松江市の美保関。全国のえびす社の総本山である美保神社が鎮座し、毎年多くの参拝客が訪れる。
その参道そばで300年以上、参拝客らを招き入れてきた老舗旅館「福間館」の女将(おかみ)。長年の功績が評価され、今年4月、国土交通省の観光関係功労者表彰を受けた。「小さいなりの良さを感じとっていただけたのかなあとうれしく思います」
島根県安来市出身。松江市内でピアノ講師を務めていた25歳の時、現社長の福間隆さん(71)と結婚し、先代女将のもとで仕事を一から学んだ。若女将として経営にも参画し、「気軽にお泊まりいただける宿」をモットーに、夫婦で地元の旬の食材を生かした料理をふるまってきた。年間の宿泊者は3千人超で、リピーター客も多い。「触れあいを大事にしてきたからかな」と話す。
裏手の「青石畳通り」には、旅館や劇場、飲食店が軒を連ねていた往時の面影が残る。そんな「古き良き日本」を探し求める外国人客も、10年ほど前から増え始めた。
感心したのは、観光スポットを訪ね回るよりも、近くの食料品店や雑貨店で買い物をしたり、海辺をのんびり歩いたりして、地元の人と同じ日常を楽しむ姿だ。生活の不便さばかりに目を向けていたが、「自分たちの暮らしの中に良さがあるんだ」と気づかされた。
過疎化が進む美保関の地域づくりにも尽力してきた。2006年に地域の女性たちとボランティア団体を立ち上げ、08年には青石畳通り沿いの古民家に「お休み処 入来舎(はいらいや)」を開設。手作りの弁当や総菜などが並び、地域の寄り合いの場となってきた。
スタッフの高齢化で昨年末から休業中だが、若者らがスポット的に店を開くなど「将来やりたいことを試す場」として活用。新たな息吹を感じている。
福間館も7年前から、長男夫婦が経営に携わるようになった。「次の代にも小さいなりの良さを大切にしてもらいたいですね」。そう願いを込める。(堀田浩一)
◇
〈福間館〉1717(享保2)年に開業。美保神社の参拝客のほか、多くの文人墨客が利用してきた。現在客室は6室。2003年から旧船宿や古民家の再生にも取り組み、1棟貸しの離れを4棟経営。離れの「浜延舎(はまのや)」は国の登録有形文化財、「大下舎(おおしもや)」は松江市登録歴史的建造物となっている。(堀田浩一)
その参道そばで300年以上、参拝客らを招き入れてきた老舗旅館「福間館」の女将(おかみ)。長年の功績が評価され、今年4月、国土交通省の観光関係功労者表彰を受けた。「小さいなりの良さを感じとっていただけたのかなあとうれしく思います」
島根県安来市出身。松江市内でピアノ講師を務めていた25歳の時、現社長の福間隆さん(71)と結婚し、先代女将のもとで仕事を一から学んだ。若女将として経営にも参画し、「気軽にお泊まりいただける宿」をモットーに、夫婦で地元の旬の食材を生かした料理をふるまってきた。年間の宿泊者は3千人超で、リピーター客も多い。「触れあいを大事にしてきたからかな」と話す。
裏手の「青石畳通り」には、旅館や劇場、飲食店が軒を連ねていた往時の面影が残る。そんな「古き良き日本」を探し求める外国人客も、10年ほど前から増え始めた。
感心したのは、観光スポットを訪ね回るよりも、近くの食料品店や雑貨店で買い物をしたり、海辺をのんびり歩いたりして、地元の人と同じ日常を楽しむ姿だ。生活の不便さばかりに目を向けていたが、「自分たちの暮らしの中に良さがあるんだ」と気づかされた。
過疎化が進む美保関の地域づくりにも尽力してきた。2006年に地域の女性たちとボランティア団体を立ち上げ、08年には青石畳通り沿いの古民家に「お休み処 入来舎(はいらいや)」を開設。手作りの弁当や総菜などが並び、地域の寄り合いの場となってきた。
スタッフの高齢化で昨年末から休業中だが、若者らがスポット的に店を開くなど「将来やりたいことを試す場」として活用。新たな息吹を感じている。
福間館も7年前から、長男夫婦が経営に携わるようになった。「次の代にも小さいなりの良さを大切にしてもらいたいですね」。そう願いを込める。(堀田浩一)
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〈福間館〉1717(享保2)年に開業。美保神社の参拝客のほか、多くの文人墨客が利用してきた。現在客室は6室。2003年から旧船宿や古民家の再生にも取り組み、1棟貸しの離れを4棟経営。離れの「浜延舎(はまのや)」は国の登録有形文化財、「大下舎(おおしもや)」は松江市登録歴史的建造物となっている。(堀田浩一)