お役立ちネタ帳

連載:第3回 「おもてなし」講師が教える、東京案内 とっさの英語フレーズ

掲載日:2019.08.28

第3回:声を掛ける前にもコツがある! 道案内に自信が持てる英語表現

Hello!
こんにちは。金井(かない)さやかです。
講座担当や外国人おもてなしの実体験をふまえ、すぐに使える英語フレーズや異文化コミュニケーションのコツをお伝えする、連載第3回です。

【あなたなら、どうしますか?】

突然ですが、次のような場面を想像してください。
あなたは、通い慣れた道を歩いています。
前方を見ると、外国からの観光客らしき人が立っているのが見えます。
(ふと思い浮かんだ人物で結構です!)
その人は、ガイドブックと地図を手に、自信がなさそうに周りを見回しています……。
どうやら、行きたい場所があるのに、どちらに行ったらいいのかわからない様子です。
近づくと、手に持っているガイドブックは英語版のようです。
ちょうど時間に余裕があるタイミングだったなら、あなたはどうしますか?

「外国人おもてなし語学ボランティア」チームの皆さんからは、「声をかけて、英語で道案内をするよ!」というご意見が聞こえてきそうです。(頼もしい!!)
そんな人がいる一方で、「実際にはなかなか踏み出せなくて……」と躊躇する人もいます。

道案内といえば、英会話スクールや教材でも定番のトピック。
一通りの表現はすでに見たことがあるはずなのに、なぜ「踏み出せない」のでしょう?
私は、「問題は英会話のフレーズ以前のところにある」と思います。
それは、「声を掛けられない、話を始められない」という部分です。

【話す前に、コツがある】

1) Make eye contact  (目を合わせる)

道がわからず助けてほしい人は、通る人をちらちらと見て、助けてくれそうな人を探しますね。
そこで「私がお助けしましょうか」というサインで目を合わせ(微笑む感じで!)、相手が視線を返して頷いたりしたら、声を掛けます。
(声掛けフレーズは、連載第1回の記事を参考に!)

2) Take it easy  (気楽に)

「英語を話さなくては!」と気負わずにいきましょう。
声をかける目的は、相手とコミュニケーションしてお助けをすること。
日本語だって、うまくいくことも、いかないこともあります。
「お困りですか。Are you okay?」のように、日本語でお声掛けしてから英語を添えると、スムーズに話せることもあります。
私の知人、関西出身のある方は、外国語を話すときに「ほんで」(=それで)を挟んでリズムを取ったら、ぐんと話しやすくなったそうですよ!

【道案内の英語表現例】

実は冒頭の場面は、私が実際に遭遇して英語で道案内したケースです。
実例をもとに、引き続き想像してフレーズを学び、使ってみましょう!

目が合って近付いてきたのは、30代くらい、アジアの方らしい男性。
パソコンからプリントアウトした地図を持っていて、ホテルに向かいたいようでした。
(ここまでほとんど会話なし、アイコンタクトと地図を見る動作のみ)
あー、あそこね、とわかったので、ホテル名を声に出してから、

▶It's just around the corner.  (角を曲がってすぐのところにあります)
▶Go this way.  (こちらのほうへ進んでください)

 などと案内しました。(上記いずれも、方向を手で指し示すのがポイントです!)

▶Have a nice day!  (良い一日を!)

 と笑顔で見送って、道案内完了です。

 実際に話した言葉はとても少なかったので、もう少し例を挙げますね。

▶It's over there.  (あそこにあります)
▶It's about 3 minutes' walk.  (徒歩約3分です)
▶It only takes a few minutes.  (ほんの2,3分で着きますよ)
▶Go straight. It's two blocks away.  (まっすぐ進んでください。2ブロック先です)
▶Go past the bank and turn right.  (銀行を通り過ぎて、右に曲がってください)
▶This way. Let me take you there.  (こちらです。お連れしましょう)

【東京案内で使える具体例~渋谷駅にて】

駅の構内にて:

▶Excuse me. Do you know where Hachiko is?
 (すみません。ハチ公がどこにあるかわかりますか)

▶Hachiko? The dog statue, right? It's this way.
 Do you see the sign over there? Use the Hachiko Exit.
 You'll see the statue outside.
 (ハチ公? 犬の銅像ですね。こちらの方向です。
  あそこに標識が見えますか。ハチ公改札を出てください。
  外に出ると銅像が見えます)

 実際は相槌を入れたり、復唱したりする間(ま)を意識して話します。

いまは地図アプリなどのおかげで、人に道を聞かなくても移動しやすくなりました。
でも、慣れない土地では目の前の道をどちらに進んだらよいのか、迷うことがあります。
そんなとき、目を合わせて案内してくれる人の存在は本当に心強く、温かいものです!

【執筆者プロフィール】

金井さやか

英語コーチ、講師トレーナー、パフォーマー。
「外国人おもてなし語学ボランティア」育成講座でも講師として活躍。
大学時代にパントマイムを習い始め、卒業後、企業(教育)で仕事をする傍ら、
海外公演の通訳兼パフォーマーとして渡英。
その経験を生かし、会社では英語事業部リーダーとして、子供の英語指導や
講師トレーナーを務めてきた。
現在は子育てをしながら、英語指導、学習情報の発信を行うとともに雑誌・書籍と
いった各種メディアへの寄稿も多数行うなど、多彩な才能を発揮。その豊富な経験と
パワフルな英語コーチングが生徒の心を掴んでいる。