お役立ちネタ帳

連載:第9回 「おもてなし」講師が教える、東京案内 とっさの英語フレーズ

掲載日:2020.02.28

第9回:トラブル・マナー違反を丸く収める、おもてなし英語表現

Hello again! 金井(かない)さやかです。

新型コロナウイルス感染症により、国内外で心配な状況が続いていますね。
そんな中でも、「外国人おもてなし語学ボランティア」の皆さんを通じて日本の良さが多くの人に伝わり、ご縁がつながっていくよう願って、今回も書いていきます。
すぐに使える英語フレーズや異文化コミュニケーションのコツをお伝えする連載第9回、どうぞお付き合いください。

【マナー違反を指摘するフレーズ】

まず、「外国人おもてなし語学ボランティア」育成講座で扱った表現をおさらいしましょう。
日本語を先に書きますので、英語がすぐに言えるかどうかを思い浮かべ、できれば実際に声に出してみてください。

(1) すみません。ここでは写真撮影できませんよ。
(2) あら、ごめんなさい。
(3) 外でなら写真を撮っていいんですよ。

英語表現例:
(1) Excuse me. You can't take pictures here.
(2) Oh, I'm sorry.
(3) You can take pictures outside.

pictures は photos と言ってももちろんOKです!

Don't ... では「~するな」という意味が強く伝わりすぎてしまうため、避けたいです。
自分も同じ観光客の立場で注意するなら、You can't を We can't (私たち皆、してはいけないんです)と表現してもいいですね。

【イライラ・トラブルを防ぐ考え方】

この数年、外国人観光客が急増する中で、日本の「当たり前」を知らない観光客の行動に地元の人たちが困ってしまうという話を聞きます。
ただ、マナー違反を見かけたとき、あなたのほうが正かったとしても、イラっとした表情で話しかけてはトラブルになりかねません。
相手には悪気がなく、文化の違いを知らなかっただけ、ということもあります。
環境が違えば、ルール違反をするのは私たちのほうかもしれません。
(私は、アメリカ・ニューヨークの靴屋さんで、店頭で試し履きをして注意されたことがあります。 今ならちゃんと ""May I try these shoes on?"" 「試し履きしていいですか」と一言確認すると思います!)
知らずにミスをするのはお互い様ということで、優しく声を掛けたいですね。

【相手を怒らせずに注意するフレーズ】

ゴミ捨てを例にして、声掛け表現を紹介します。

▶Please do not litter.
(ポイ捨てしないでください)

▶Please do not throw the trash here.
(ここにゴミを捨てないでください)

上記は正しいのですが、面と向かって「~しないで」と言うと相手の反感を買う可能性もあります。
私からのおすすめは「~しないで」と禁止することを言うのではなく、望ましい行動を知らせることです。

▶Please put your trash in designated cans.
(ゴミは決められたゴミ箱へ捨てるようにしてください)

上記 cans は bins とも言います。
trash can, trash bin は いずれも「ゴミ箱」です。
designated 「指定された」 がちょっと言いにくいかもしれません。
英語のネイティブスピーカーでない人同士で英語を使う場合を想定すると、以下のようなシンプル表現が使いやすいはずです。

▶Can you throw your trash here?
(ゴミはここに捨ててもらえますか)ゴミ箱を指さしながら言います。

▶There's a trash can over there.
(あちらにゴミ箱がありますよ)これも方向を示しながら。

▶Please take the trash with you.
(ゴミは持ち帰ってください)

笑顔・柔らかい表情、きつくないけれどもハッキリとした声のトーンで話すこともポイントです。
""Thank you."" でコミュニケーションを終えることも意識できたらいいですね。

【講座のおさらい、困った人をお助けするフレーズ】

さらにもう少し、「外国人おもてなし語学ボランティア」育成講座で扱った表現をおさらいしましょう。
ここでも日本語を先に書きますので、英語がすぐに言えるかどうかを思い浮かべ、できれば実際に声に出してみてください。

(1) 大丈夫ですか。
(2) (相手の言ったことを復唱するような形で)カバンをなくしてしまったのですか。
(3) 最後にそれを見たのはいつですか。
(4) 遺失物取扱所へお連れしましょう。

英語表現例:
(1) Are you okay?
(2) You lost your bag? (講座ではパスポートを紛失した例で学びましたね)
(3) When did you see it last?
(4) Let me take you to the lost-and-found.

""Let me take you +場所・施設名"" は実際に案内してそこまでお連れする場合の表現でした。

Let me take you to the ...

警察署 police station
薬局  drugstore
病院  hospital
避難所 evacuation site

このように、お助けで案内する可能性がありそうなお店や施設がどこにあるか、日ごろの生活であらかじめ確認しておかれてはどうでしょうか。
トラブルはないのが一番ですが、できることから備えをしておき、いろいろな人と気持ちよく関われるようにしたいですね。

【執筆者プロフィール】

金井さやか

英語コーチ、講師トレーナー、パフォーマー。
「外国人おもてなし語学ボランティア」育成講座でも講師として活躍。
大学時代にパントマイムを習い始め、卒業後、企業(教育)で仕事をする傍ら、
海外公演の通訳兼パフォーマーとして渡英。
その経験を生かし、会社では英語事業部リーダーとして、子供の英語指導や
講師トレーナーを務めてきた。
現在は子育てをしながら、英語指導、学習情報の発信を行うとともに雑誌・書籍と
いった各種メディアへの寄稿も多数行うなど、多彩な才能を発揮。その豊富な経験と
パワフルな英語コーチングが生徒の心を掴んでいる。