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100万人を28年間でおもてなし 岡山市の観光ボランティアガイド

2025.04.29
 岡山城や岡山後楽園などで無料ガイドを務める「岡山市観光ボランティア活動連絡会」。案内した観光客が4月、100万人に達した。1997年の発足以来おもてなしを続けて28年。会員らは地域の歴史や外国語を学ぶなどしてスキルを磨き、新たな訪問者を待つ。
 「『石の博物館』とも呼ばれています」。25日昼、「制服」である緑色のベスト姿の赤木洋子さんは、手製の資料ファイルを開いて女性2人組に説明を始めた。岡山城の石垣は時代によって石の積み方や形が異なる。2人は石垣に見入った後、天守を背に赤木さんと記念撮影。「聞けてよかった」と笑顔で告げ、天守に入った。
 赤木さんのガイド歴は8年ほど。独学で続けていた英会話の上達にと「観光地なら外国人と話す機会が増える」と思い立った。「ふるさとについて改めて学べるし、何よりも自分が楽しめています」
 連絡会は岡山城築城400年を迎えた1997年に発足。岡山市が主催した観光ボランティア養成講座を受けた38人が、主に岡山城で案内を始めた。次第に後楽園、吉備津彦神社と拠点を増やし、年4万人弱を案内してきた。
 今年度は20~90代の111人で、シルバー世代や会社勤め、主婦らと様々。県内外の観光地での研修も重ね、現地の観光ガイドと交流を深めながらおもてなしのスキルを磨き続ける。2014年度からは英語や中国語など4言語でのガイドにも取り組む。
 コロナ禍で2020、21年度はガイドした訪問者が7千人台と激減する中でも、オンライン研修で岡山城の魅力を再発掘するなど研鑽(けんさん)を怠らず。22年秋の岡山城全面リニューアルを受け、23年度は約3万7千人と回復基調に乗った。昨年度までに99万5593人を案内していた。
 コロナ禍が明け、円安も相まって急増する外国人観光客への対応を急ぐ。昨春には世界31言語に対応できる音声翻訳アプリ「ボイストラ」を各自のスマホに導入。案内に役立てている。海外勤務経験がある会員が講師を務める英語の勉強会も活発。中国出身の会員は仲間の中国語上達に一役買う。
 「石垣を見ているとタイムスリップできる。岡山には素晴らしい観光資源があることを、ガイドを始めて改めて気付いた」と田中恵会長(77)。大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭の波及効果を期待し、ガイドに磨きをかけて「観光岡山」を発信したいと思っている。(小沢邦男)