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能登半島地震で大破したみこし、姫路の大工が修復 歴史博物館で展示

2025.05.13
 石川県輪島市黒島地区に江戸時代から伝わり、昨年1月の能登半島地震で大破してしまったみこしが、兵庫県姫路市の大工の手でよみがえった。13日~6月1日に県立歴史博物館(姫路市本町)で展示された後、輪島の人たちの元に戻される。
 このみこしは全長約5メートル、高さ約2メートル。毎年8月の「黒島天領祭」で約280年もの間、大事に使われてきた。だが、昨年1月1日に発生した地震の揺れで保管庫の下敷きになり、バラバラに壊れてしまった。
 震災後、黒島地区の出身者らでつくる姫路市のボランティア団体「黒島支援隊」がみこしのことを知り、姫路の「灘のけんか祭り」(県指定重要無形民俗文化財)のみこしを手がけてきた福田喜次さん(73)に修理を持ち掛けた。
 地域にとってみこしがいかに大切かを知る福田さんは、依頼を快諾。壊れた部材をいったんすべて姫路へ運び、祭りの写真や動画を参考にしながら、小さいもので数センチ片になった部材を少しずつ組み上げた。
 8カ月ほどかけて完成させた福田さんは「とにかく立派で、細工が細かい。灘のけんか祭りは、激しくぶつけて壊れたら新しくする、というものだが、こちらは江戸時代から守られてきたもの。勝手に真新しくするわけにはいかなかった」と振り返る。
 みこしは輪島に戻す前に、歴史博物館で展示されることになった。担当学芸員の香川雅信さん(55)は「わずか1年しか経っていないのに、能登半島地震のことが世間から忘れられているように感じる。同じく震災を経験した県として、能登の被害を忘れないという思いで企画した」と話す。
 月曜休館。観覧無料。(東孝司)