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大津・堅田の歴史と魅力を知って 小中高生向けに自費出版

2025.07.28
 琵琶湖の北湖と南湖の境に位置する大津市の堅田(かただ)地域は、古代から水上交通の要衝として栄えた。昭和には東洋紡績の拠点でもあった。その歴史を紹介する本を、堅田に60年以上住む村内一夫さん(80)が自費出版した。堅田の学校や県内の図書館に寄贈した。
 村内さんは、堅田にある東洋紡総合研究所などで75歳まで働く一方で、大津市の観光ボランティアガイドを務めながら歴史の研究を続けてきた。77歳のときに大病したことをきっかけに、やりたいことを見つめ直して本の制作を思い立った。
 本のタイトルは「堅田の歴史と魅力」。史料や地図、写真などのカラー素材約700点を使って学校の副教材のように分かりやすくした。
 原始から平成までに堅田で起きた出来事や人物、文化、遺構を100項目にわたり紹介している。たとえば、室町時代の1468年に堅田の町が延暦寺に焼き打ちされ、住民が沖島へ避難した「堅田大責(おおぜめ)」や、昭和初期の1927年に東洋紡績が進出したことなどを載せた。
 浮御堂やヴォーリズ建築の教会など歴史を知る散歩コースを18コース提案する。飲食店や土産店、トイレの場所も含めて見どころも解説する。
 堅田での出来事を世界史の中で捉えてほしいと、堅田や大津、滋賀、国内、海外の出来事を年表で示した。さらに春日山古墳や堅田の街並みをプロの操縦者に依頼してドローンで空撮し、一部の画像や空撮動画が見られるサイトのQRコードも掲載した。
 執筆に2年かかった。堅田を拠点にし「湖族」と呼ばれた有力な地侍の一族、刀禰(とね)氏が平氏滅亡とともに奥能登に移され、その子孫が今も能登地方の経済界で活躍していることを知ったことは驚きだったという。
 本は堅田の小・中・高校にそれぞれ200~300部、滋賀県立図書館ほか県内54カ所の図書館などにも贈った。
 村内さんは「子どもたちに地元の魅力を知ってもらい、堅田へ足を運んでくれる人が増えるきっかけになれば」と話す。
 本はB5判231ページ。非売品。内容についての問い合わせなどは出版元のサンライズ出版(0749・22・0627)。(四倉幹木)