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<ひと ゆめ みらい>高齢者の買い物支援を主導 「楽しみ」の提供 常に考え 大山寛人(おおやま・ひろと)さん(52)=狛江市

2025.08.04
 東京都の狛江市社会福祉協議会が本年度から始めた、高齢者の買い物支援事業「おたのしみスローショッピング」を総務課長として主導する。5、6月の2回、高齢者4人にボランティアの付添人が1人ずつ同行して試行実施。隣接する調布市内の商業施設で買い物を楽しんでもらった。

 「みなさん、ボランティアとは当日が初対面なのに、すぐにうち解けて、楽しく会話しながら買い物をしていた」と振り返る。

 参加者は衣料品やバッグ、靴などたくさんの買い物をしていて驚いた。「ヘルパーに頼むのではなく、自ら店頭で選ぶことが楽しそう。『次はいつ?』『楽しかった』と言われ、うれしかった」

 1時間40分ほど、各売り場やフードコートなどを自由に回ってもらった。市社協の職員も各回数人、店内で待機。「楽しそうに買い物をする高齢者の姿を見て職員もうれしそうだった」

 中野区出身。寝たきりの祖母を母親が在宅で介護する姿を見ながら育った。母が外出する時には、見知らぬ大人が家へ来てくれることがあった。後に、地元社協の家事援助サービスだと知った。

 淑徳大(千葉市)の学生時代には、公共施設の会議室に高齢者とその家族らが集まり、ひとときを過ごすミニデイサービスに、ボランティアとして参加した。「体操を始める時刻を告げる役目で『号令の大山君』と呼ばれるようになり、自分も楽しくなった」。次第に福祉の仕事を志すようになったという。

 卒業後は、医薬品卸売業の会社を経て、1997年から市社協に勤務する。デイサービスや訪問介護などの業務に携わりながら、介護福祉士や介護支援専門員の資格を取った。

 高齢者デイサービス(通所介護)では、高齢者向けの運動やレクリエーションに取り組んだ。高校時代から親しむ空手を応用し、スタッフが持つミットを高齢者にたたいてもらう運動も取り入れた。

 「高齢者福祉の現場では楽しんでもらうことを常に考える」。買い物支援の事業名に「おたのしみ」と付けたのも、そんな思いを込めてのことだ。この事業には、担当部署に関係なく職員の参加を促すことにしている。「社協の仕事は地域とのつながりをつくることだから」ときっぱり。来年度以降も息長く続けていきたいと考えている。(北浜修)

<「おたのしみスローショッピング」> 歩行の不安や家族が支援できないなどの理由で、買い物に困っている高齢者などが対象。本年度は9回予定。5、6月に試験実施し、3回目(9月19日)から一般公募する。定員は各回5人。狛江市社協の車両で市内の集合場所と調布市内の商業施設を往復する。無料(商品購入費は自己負担)。