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多彩な人が集う「城」に 鎌倉でゲストハウス運営・武士姿の高野さん 子どもたちに多様性育むきっかけ提供
2025.08.10

古都・鎌倉で時折、烏帽子(えぼし)に鎧(よろい)姿の「武士」を見かける。「ゲストハウス彩(いろどり)鎌倉」と「武士食堂彩り」を営む高野朋也(ともや)さん(38)だ。10年ほど前に「私服を捨てた」と話す。なぜ武士の姿で暮らすのか。答えを聞くため、高野さんの「城」を訪ねた。(篠ケ瀬祐司)
築90年以上の古民家を改装したゲストハウス兼食堂は、大町大路と琵琶小路を結ぶ、気付きにくい路地にある。引き戸を開けてすぐの掘りごたつ状の食卓が食堂で、居間と2階の2部屋が宿泊用という、こぢんまりした「城」だ。
月120人ほどの宿泊客の多くは外国からの旅行者。25人のスタッフには90歳代の人も、視覚に障害のある人も車いすを使う人もいる。「国籍や年齢、生い立ち、障がいのあるなしに関係なく集う場所でありたい。そうしたみんなとつくる『共創』を目指したい」と高野さんは語る。
多彩な人たちがいる方がおもしろい。多様性を広げていきたい。そんな屋号の「彩」に込めた思いが、武士姿の答えでもあった。
高齢者施設で働きながらボランティア活動をしていた20代のころ、軽い気持ちで鎧を着けて車いすを使う女性の鎌倉案内を手伝った。その時女性がつぶやいた。「普段は私に視線が来るけれど、今日は『武士』に(視線が)行くから楽」
自分が鎧を着ることで人を快適にできるとは。ならば自らが少し変わった価値観を示すことで、社会の彩りが豊かになるかもしれない。そう考えた高野さんは「へっぽこな自分」を鼓舞する意味も込めて、365日、鎧を着て過ごすと決めたと話す。鎧姿で電車にも乗る。
多様性を重んじる感性は幼少期に育まれたようだ。「さまざまな職業の大人たちに囲まれて育った。だから子どもたちには、いろいろな大人に会って、いろいろな経験を積んでもらいたい」。子どもたちに温かいまなざしを向ける高野さんの「武士食堂」には、学校に行きにくい子も、学校帰りの子も集まってくる。
「今、幕府をつくっています」と高野さんは明かす。ネットワークを広げ、さまざまな取り組みに挑戦する仕組みをそう呼んでいる。
「幕府」の目標の一つは、地域の子どもたちのためのフリースクールづくりだ。「企業や大人たちが資金集めや情報発信などで連携すれば、子どもたちに居場所や職業体験の機会を提供できる。そうすれば将来の選択肢も広がる」。「武士」の戦いは続く。
築90年以上の古民家を改装したゲストハウス兼食堂は、大町大路と琵琶小路を結ぶ、気付きにくい路地にある。引き戸を開けてすぐの掘りごたつ状の食卓が食堂で、居間と2階の2部屋が宿泊用という、こぢんまりした「城」だ。
月120人ほどの宿泊客の多くは外国からの旅行者。25人のスタッフには90歳代の人も、視覚に障害のある人も車いすを使う人もいる。「国籍や年齢、生い立ち、障がいのあるなしに関係なく集う場所でありたい。そうしたみんなとつくる『共創』を目指したい」と高野さんは語る。
多彩な人たちがいる方がおもしろい。多様性を広げていきたい。そんな屋号の「彩」に込めた思いが、武士姿の答えでもあった。
高齢者施設で働きながらボランティア活動をしていた20代のころ、軽い気持ちで鎧を着けて車いすを使う女性の鎌倉案内を手伝った。その時女性がつぶやいた。「普段は私に視線が来るけれど、今日は『武士』に(視線が)行くから楽」
自分が鎧を着ることで人を快適にできるとは。ならば自らが少し変わった価値観を示すことで、社会の彩りが豊かになるかもしれない。そう考えた高野さんは「へっぽこな自分」を鼓舞する意味も込めて、365日、鎧を着て過ごすと決めたと話す。鎧姿で電車にも乗る。
多様性を重んじる感性は幼少期に育まれたようだ。「さまざまな職業の大人たちに囲まれて育った。だから子どもたちには、いろいろな大人に会って、いろいろな経験を積んでもらいたい」。子どもたちに温かいまなざしを向ける高野さんの「武士食堂」には、学校に行きにくい子も、学校帰りの子も集まってくる。
「今、幕府をつくっています」と高野さんは明かす。ネットワークを広げ、さまざまな取り組みに挑戦する仕組みをそう呼んでいる。
「幕府」の目標の一つは、地域の子どもたちのためのフリースクールづくりだ。「企業や大人たちが資金集めや情報発信などで連携すれば、子どもたちに居場所や職業体験の機会を提供できる。そうすれば将来の選択肢も広がる」。「武士」の戦いは続く。