ボランティアはじめの一歩

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親子で稲作やすす払い 里山に触れ合う「公園ボランティア」

掲載日:2024.01.30

都心から30kmほどのところに位置する狭山丘陵。東京と埼玉にまたがり、東西約11㎞、南北約4㎞にわたるこの丘陵には、ゆるやかな丘と谷からなる里山の風景が一面に広がります。

丘陵の一角をなし、都立公園で最大面積となる「野山北(のやまきた)・六道山(ろくどうやま)公園」では、四季を通じて多くのボランティアたちが様々な活動に取り組んでいます。そこには多くの親子連れの姿が見られます。

親子で参加できる「公園ボランティア」とは、どのようなものなのでしょう。様子をお伝えします。

子どもたちの声が響く「里山民家」

長い竹の「ほうき」で里山民家の天井のすす払いするボランティアの子どもたち

「できた!」「終わったよー」

年末が差し迫った2023年12月中旬。かやぶきが敷かれた「里山民家」では子どもたちの声が元気に響き渡っていました。

ボランティア活動のひとつである「すす払い」。

子どもたちは、公園内の竹を使って、公園ボランティアが事前に作成した長いほうきで高い天井のすすやほこりを払い、床や家具類には雑巾がけをして、1年間お世話になった場所を掃除しました。

里山民家は、江戸時代中後期の民家を再現したもの。ここは、ボランティア活動の拠点です。集合場所や昼食場所となっているほか、ボランティアが作ったわら細工の展示などをしています。

ボランティアは年度ごとの登録制で、現在未就学児から80歳代まで約300人。30-40代を中心とする親子での参加が多いのが特徴で、四季を通じて米や野菜作り、竹林や湿地の保全などをしています。

ボランティアは、公園周辺の(都内)多摩地域の方を中心に、隣接する埼玉県や23区からも参加しています。親子で参加する人たちは、親が子どもに「泥の感触を体験させたい」「生き物に触れる機会を作りたい」という理由が多いと言います。

年配のボランティアは、「公園を歩く楽しみを提供したい」「この公園のために何かをしたい」という気持ちの人が多く、長い人は15年、20年とボランティアを続けているそうです。

活動では、そうした多様な年代の人たちが一緒になってコミュニケーションをとっている様子が見られ、80代の方と子どもが楽しそうに田んぼの話をしている姿も見られます。

ボランティアの活動拠点となっている里山民家

普段は体験できないことを親子で一緒に

家族でボランティアに来ている戸塚正哉さん、梓紗さん、穂香さん(右から)

4年ほど前からボランティアに参加する戸塚さん親子にお話を聞きました。

都内に住む会社員の戸塚正哉さん(46)は、公園の田んぼの稲刈りイベントに親子で参加した際、こんなに楽しいところがあるんだなと感じ、翌年からボランティアに参加しているそうです。田んぼの活動を中心に足を運んでいます。「子どもたちにお米をつくる大変さを知ってもらい、ごはんを大切にしてほしい」という気持ちもあって参加を決めました。

春は土をほぐす「荒起こし」、夏は土をならして水深をそろえる「代かき(しろかき)」や草取り、秋は稲刈り。田んぼの年間活動のうち、2023年は夏を中心に月1~2回の頻度で参加しました。

ボランティアをするのは親子とも初めてでしたが「ほかのボランティアの方が優しく、いつ来ても歓迎してくれて自分たちのペースで色々な体験ができるので楽しく続けられています」

仕事で帰りが遅く、普段は子どもたちとの時間がなかなかとれない分、たっぷりと1日を一緒に過ごして密に子どもたちと接することで、普段は見られない姿が見られることも魅力だと言います。

年配のボランティアなど、普段は接することのない世代の人たちとの交流を通じて、前はできなかったことが次にはできるようになるといった、子どもたちの成長を見られることも喜びだそうです。

ともに小学3年生で8歳の穂香(ほのか)さんと梓紗(あずさ)さんは双子の姉妹。

穂香さんは、収穫後のお米を運んだり、みかんを収穫したりするのがお気に入り。初めて田んぼの作業をしてみて、毎日食べているお米が「いちから全部手作りだということがすごい」と感じたそう。

梓紗さんは「雑穀や稲を刈るのが楽しい」、「お米は、食べる人は楽だけど、作っている人は大変だと思った」と言います。普段とは違い、いろいろなことを教えてくれるお父さんの姿も見られるそうです。

この日のすす払いは「足の裏がすごく汚れたけどきれいになってすっきりした(穂香さん)」「竹が重くて持てなかったから長いほうきを使った。ほこりが入って目が痛くなったけど楽しかった(梓紗さん)」

これからやってみたいこととしては、「(公園の竹林の)タケノコを倒すこと(穂香さん)」を挙げました。

正哉さんは「ここは空が広く、都心にいるのとは全然違う。やってみると楽しく、普段はできない経験ができるので二の足を踏んでいる方はぜひ一歩踏み出してみてください」と話しました。

みんなでつくりあげる里山

「生き物が好き、人と話すのが好き」という狭山丘陵パートナーズの今野紗貴さん

公園を管理する「狭山丘陵パートナーズ」の今野紗貴(こんのさき)さん(28)にもお話を伺いました。
ボランティアのみなさんには、「里山の豊かな環境をみんなで守る」ため、主に「田んぼや湿地などの保全活動」、「藍染めや伝統食など伝統文化の伝承活動」に協力いただいています。

また、活動の計画などの運営にもボランティアには積極的に関わってもらっています。ボランティアの発案で進められている活動も少なくありません。「生き物倶楽部」では湿地などに住む動植物の調査や湿地整備などの保全活動を自主的に進めています。

「たくさんの人の意見を集めた方がきっといいものができると思うんです。今の形に合ったものを探しながらやっていきましょう、とみなさんにお伝えしています。失われつつある里山の風景についても、自然と人とが共生するためにはどうしたらいいか、ボランティアの方々と一緒に考えていけたらいいですね。」

ボランティアに初めて登録を希望する人はまず、2月にある「新規ボランティア説明会」に参加。実際に公園内でボランティアが活動している場所を見て回った後、活動について詳しい説明を聞きます。その後、登録に進もうと思った人は、公園のルールやボランティアをするにあたっての心構えについて説明がある3月の「ボランティアオリエンテーション」をへて、4月から活動が始まります。

登録後はホームページで公開されている「活動カレンダー」を見て、希望する活動に自由に参加できます。事前に申し込みするものもあれば、当日直接参加して大丈夫なものも。

慣れない内容でも、ベテランのボランティアやスタッフのサポートがあるので安心です。

何から参加すればいいのかわからない人には春に開かれる「里山春祭り」がおすすめ。初心者・親子大歓迎で、多くの人が集まるので様々な活動や人を知る絶好の機会になっています。

必要な技術や年齢制限はありません。

「本当に気軽に来てください」と今野さんは呼びかけています。
興味のある方は、まずは2月にある「新規ボランティア説明会」にご参加ください。