スペシャルインタビュー

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【中川翔子さん】優しい世界を作るためのパズルのピースをみんなで少しずつ埋めていけたら

掲載日:2020.03.27

PROFILE

中川 翔子さん

中川 翔子(なかがわ しょうこ)

1985年生まれ、東京都出身。
歌手・タレント・声優・女優・イラストレーターなど、活動は多岐に渡り、多数のバラエティ番組にも出演中。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の「東京2020組織委員会マスコット審査会」メンバーとしてマスコット選定に携わり、東京都で聖火ランナーも務めることが決定。
また、2025年日本国際博覧会に向けた「万博誘致スペシャルサポーター」としても活動している。
2019年夏には、自身の経験を元に書籍『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)を出版。以降は多数の講演会等に登壇し、多様化するいじめ問題に取り組んでいる。

歌手・タレントの中川翔子さんは、子どもの頃から捨て猫はもれなく家に連れ帰ってしまうほどの、大の猫好き。「本当は全捨て猫の面倒をみたい」そうですが、決して一人で背負いこむことなく、動物愛護団体やボランティアの人たちと協力しながら猫の保護や里親探しをする活動を10年以上続けています。
他にも、10代のいじめ問題にも長年積極的に取り組む中川さんに、継続して支援を行うための秘訣を聞きました。

猫に恩返しがしたい、
がきっかけ

中川さんは捨て猫の保護活動に取り組んでいますが、具体的にどのようなことをしているのか教えてください。

うちには今10匹の猫がいるのですが、みんな捨て猫で、保護猫カフェや保健所から引きとった子たちです。ここ10年は保護施設への寄付も続けていて、定期的にキャットフードも送っています。
それから、愛猫をモチーフにしたブランド『mmts(マミタス)』の売り上げの一部も、猫を保護する活動に使っています。

中川家は代々みんな猫好きで、物心ついた頃から猫がいる生活が当たり前。もう亡くなってしまいましたが、特にマミタスと名付けた猫と過ごした時間は特別なものでした。友人関係や仕事が上手くいかなくて落ち込んでばかりの10代の私をいつもなぐさめてくれて、まさに家族のような存在。無償の愛で包んでくれました。

自分の身近にいる猫だけでなく、どうして遠くの猫にも目を向けるようになったのでしょうか。

私にいろいろなものを与えてくれる猫たちに恩返しがしたくて、自分にできることはないかネットで検索しているうちに、自然と範囲が広がっていった感じです。本当は私がこの世のすべての猫たちを幸せにしたいけど、それは無理ですよね。だから、できる範囲での支援を続けてきました。

一人では力が及ばなくても、誰かの力を借りれば救える命もあります。たとえば、以前Twitterで北海道・江差の保健所で殺処分される猫がいることを知って、北海道にいるボランティアの方にお願いして引き取りに行っていただいたことがあるのですが、それも誰かが情報を発信してくれなければ人知れず失われていた命でした。

PROFILE

中川 翔子さん

中川 翔子(なかがわ しょうこ)

1985年生まれ、東京都出身。
歌手・タレント・声優・女優・イラストレーターなど、活動は多岐に渡り、多数のバラエティ番組にも出演中。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の「東京2020組織委員会マスコット審査会」メンバーとしてマスコット選定に携わり、東京都で聖火ランナーも務めることが決定。
また、2025年日本国際博覧会に向けた「万博誘致スペシャルサポーター」としても活動している。
2019年夏には、自身の経験を元に書籍『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)を出版。以降は多数の講演会等に登壇し、多様化するいじめ問題に取り組んでいる。

興味があることから、今の自分に何ができるか考える

ご自身が学生時代にいじめを受けた経験から、中川さんは10代のいじめをなくすためのメッセージをずっと発信し続けています。

いじめは、物理的にも精神的にも人を死に追いやる可能性があると私は思っています。夏休み明けの9月1日に学校に行きたくなくて自殺してしまう子どもの数は増え続けているのに、いまだに「いじめられる側にも原因があるんじゃないか」って言う大人がいるのが信じられません。

居場所がなくて悩んでいる子は、9月1日に限らず一年中いる。そこに向き合うのはすごく覚悟がいることですけど、「いのちの電話」※1では、厳しい審査を経た人たちがボランティアとして活動されています。

思春期のものすごい衝動を受け止めてくれる大人がいたら、救われる子はたくさんいるはずです。最近はLINEでも子どもたちの悩み相談に乗ることができると知って、自分もいつかやれたらいいなと思って調べています。

今すぐに、ではないんですね。

いじめられている子に向けて本を書いたときにも思ったのですが、言葉選びはとても難しい。片手間でできることではないんです。だからこれに関しては、しっかりと自分の中で準備ができたらと考えています。

無理せず、マイペースに

ボランティアという言葉には、どのようなイメージがありますか?

ボランティアって聞くと、すごく身を削ることになるんじゃないかと不安を覚える人もいるかもしれませんが、無理せず自分にできる範囲のことをやれば充分だと思います。

ゴミ拾いをして街がきれいになると、自分もいい気持ちになりますよね? ボランティアは、「やってあげる」じゃなくて、自分も他の誰かも笑顔になれる“うれしいのシェア”なんです。

優しい世界を作るためのパズルのピースを、みんなでちょっとずつ埋めていくようなイメージを持つといいと思います。パズルを少しずつ進める人もいれば、本腰を入れてガバッとやる人もいる。マイペースでいいんです。人生は、まず自分が幸せだと思えることが大切。私も、猫が幸せだと自分も幸せ、というところから始めましたから。

あまり構えず、興味があればやってみるくらいの気持ちで充分なんですね。

今は子どもでも大人でも参加できるボランティアがたくさんあるので、自分の心の中に「自分にもなにかやれることはないかな」って風が吹いた日に、ほんの少し調べてみるだけでも確実に何かが変わっていく気がします。街や公園がいつもきれいなのはたくさんの方々の善意の賜物だと思うと、普段何気なく見ている景色も違って見えますよね。

※1 不登校やいじめで苦しむ子どもたちを始め、あらゆる世代から寄せられるさまざまな悩み、不安にボランティア相談員が耳を傾ける。東京いのちの電話の詳しい取組はホームページ(https://www.indt.jp/)で確認を。

MESSAGE 「自分の『好き!』の気持ちが誰かの笑顔につながるかもしれない。」中川翔子

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